遺産相続

 相続に関する主な手続きとして次のことがあります。

①相続財産の確定

②法定相続人の確定

③相続人間の協議

④遺産分割協議書の作成

⑤遺産分割の実施

 弊所では,④遺産分割協議書の作成と関連する諸手続きをさせていただきます。

 なお,相続税申告の対象となる案件及び相続登記に関する手続きについては,弊所と提携している税理士及び司法書士等に,お客さまのご同意をいただいたうえで引継ぎ,もしくはご紹介をさせていただきます。

遺言

 通常,遺言には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。

弊所では主に,公証人に作成してもらう「公正証書遺言」の原案作成を扱わせていただきます。

その場合,公証人への手数料が必要となります。

相談①

 父が亡くなりましたが,父は祖父の遺産として実家周辺の山林等多くの不動産を所有していたと聞いていましたが,その所在が詳しく分かりません。どのようにして調べたらよいのでしょうか?

① 亡くなられた方(被相続人)の所有する不動産を調べる方法として

  • 毎年4月に送付される,固定資産税の納税通知書にある課税明細書で調べることができます。
  • 市役所の資産税課で名寄帳を取り寄せれば,墓地等非課税の不動産についても調べることができます。
  • 法務局で登記事項証明書を取得すれば不動産に設定されている抵当権などを調べることもできます。

相談②

 母は生前,複数の銀行口座を持っていて,証券や国債の購入などを行っていました。

遺産分割に当たり,これらのものを漏れなく調べたいのですが,どのようにしたらよいのでしょうか?

 また,インターネットで預金や株の取引も行っていたようですが,明細もなくパスワードも分からない場合にはどのようにしたらよいでしょうか?

① 相続人が行う被相続人の預貯金の取引履歴の調査について

  • 預貯金の通帳や預貯金証書によって,相続開始前3年(令和6年1月1日からは7年)ないし6年間の被相続人の預貯金口座の取引履歴を確認します。
  • 相続税の申告をするときの添付書類として必要となりますから,金融機関に対して,相続発生日現在の預貯金残高証明書の発行を依頼します。
  • 株式や国債等の有価証券については,証券等を手がかりにして取引のあった証券会社に対して被相続人が所有していた有価証券の保有銘柄等について問い合わせを行います。
  • インターネットバンクでの銀行取引について,パスワードが分からない場合,調べることが難しいので,ATMで使うカードやインターネットバンクからの郵便物で被相続人が取引していたインターネットバンクを調べ,問い合わせすることになります。

相談③

 先日,父が亡くなりました。父の相続人としては,母と私のほかに弟が1人いますが,弟は10年前に家を飛び出して以来,消息が分かりません。

母と私だけで財産を分割したい場合,どのようにすればよいでしょうか?

①この場合の手続きについて(要約)

・不在者財産管理人選任審判の申し立てを(不在者の従来の住所地又は居所を管轄する家庭裁判所に)行います。

・不在者財産管理人の権限外行為許可審判の申し立てを行います。

・不在者財産管理人が他の共同相続人と遺産分割協議を成立させます。

・失踪宣告審判の申し立てを行います。

・失踪宣告の審判が確定した場合には失踪届を(宣告を受けた者の本籍地または届出人の所在地の市町村に)します。

相談④

 内縁の夫が先日亡くなりました。私たちには未成年の子どもが2人いますが認知されていません。今住んでいる自宅は夫が購入したもので夫名義です。

この家を2人の子どもに相続させたいと思っています。どのようにしたらよいでしょうか?

①この場合の手続きについて(要約)

・死後認知請求の訴えを,父の死亡から3年以内に検察官を相手方として家庭裁判所に直接訴訟を提起することになります。

・認知の届出を(訴えを提起した者の本籍地の市町村に)します。

・遺産分割協議のために特別代理人選任の申立てを(子の住所を管轄する家庭裁判所に)します。

・相続人が認知を受けた未成年の子2人だけであれば,母と選任された特別代理人とで遺産分割協議を行います。

相談⑤

 母が亡くなり,子である兄,弟,私の3人が相続しました。母の死後半年経過してから,遺産分割の協議をしようと遺産である土地と建物の全部事項証明書を取り寄せたところ,兄の単独名義による相続登記がなされていることが判明しました。私は,兄が単独で取得することに合意したことはありません。どのようにしたら私の権利を回復することができるのでしょうか?

①遺産分割協議を行うための手続きについて(要約)

・相続人全員を相手方にして遺産分割協議を申し入れることができ,遺産分割の協議が整わないときは,家庭裁判所に遺産分割の調停または審判の申立てをすることができます。

・遺産分割の調停が成立した場合は,遺産分割の内容を記載した調停条項を作成します。

・省略

相談⑥

 夫が交通事故で死亡しました。私は現在妊娠6か月です。夫には自宅の土地建物や預貯金もあります。夫の両親は死亡していますが妹がいます。生まれてくる子どもは,夫の遺産を相続することができるのでしょうか?

①妊娠中に父親が死亡した場合など,相続開始時に子が出生していない場合にも,胎児には被相続人の相続権が認められています。この場合の手続きについて(要約)

・子の出生を待って特別代理人選任の審判申し立てを(子の住所地を管轄する家庭裁判所に)します。

・選任された特別代理人が,子を代理して遺産分割協議を成立させます。

相談⑦

 父が亡くなりました。母と兄,私と妹が相続人となるため,遺産分割について話し合い,母が自分の住む土地建物,兄が株式とゴルフ会員権,私が預金を相続し,妹は結婚時に多額の資金援助を受けていることから相続分を放棄しました。このように遺産分割の話し合いがまとまったときはどのような手続きをすればよいでしょうか?

①遺産分割協議書を作成します。

・有効な協議分割となるためには,分割内容について共同相続人全員が合意することが必要です。

・遺産分割の当事者について,まず,相続放棄の意思を家庭裁判所に申述した者は最初から相続人とならなかったとみなされるので,遺産分割の当事者にはなりません。これに対し「相続分の放棄」など放棄の意思を表明していても裁判所の手続きをしていない事実上の放棄である場合は,遺産分割の際に当事者に含めて,生前贈与を理由に遺産を取得しないことを記載するなどの方法があります。

②遺産分割後の手続きについて

〇不動産の登記

・遺産分割により不動産を取得した場合には,第三者と対抗関係になりますから,速やかに登記手続きをすることが重要です。

〇預貯金の解約,名義書換

・金融機関や第三者に対し,遺産分割により法定相続分以上の預貯金を取得したことを主張するには債権譲渡と同様の対抗要件が必要となります。

そのことを前提にして,預貯金の解約や名義の書換には所定の手続きが金融機関により用意されています。

〇株式の名義書換

・株式を相続した場合は,証券会社や信託銀行を窓口として,あるいは発行会社に直接,承継に必要な所定の手続きをとります。

〇ゴルフ会員権の名義書換

・相続の対象となる預託金ゴルフ会員権を取得した場合,会則で求められている所定の手続きをします。

相談⑧

 先日母が亡くなりました。母は離婚しているので,相続人は私(25歳)と弟(16歳)のみです。

遺産分割手続きはどのようにしたらよいでしょうか?